ジャパネット2代目が挑む脱カリスマ経営 「父のようにはなれない」:朝日新聞デジタル

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甲高い佐世保弁は長く「ジャパネットたかた」の象徴として人気を集めた。テレビから消えたのは2016年。高田明氏(73)の社長退任から1年後のことだ。

長崎県佐世保市の小さなカメラ店を通販大手に成長させた父の不在。後を継いだ長男の旭人(あきと)氏(42)には、会社の先行きを不安視する声が届いていた。

高田旭人氏は東大を卒業後、野村証券を経て25歳でジャパネットに入社。副社長を経て35歳で社長に就いた。「2代目」がめざす経営、そして動き始めた「第2の創業」とは。

父は自分の感性を大事にし、「一生懸命やったことに失敗はない」と語っていた。佐世保市にスタジオを構え、アドリブを交えた生放送で消費者を魅了した。ビジネス向けに売り出されていたICレコーダーを「家族間での連絡用に」と紹介し、若者向けと言われていた電動歯ブラシを高齢者に売り込み、ヒットさせた。「カリスマ社長」として知られ、仕入れる商品の種類や数も自分で決めていた。

一方、父を長く見てきた旭人氏は「父のようにはなれない」と考え、経営スタイルの見直しを進めた。

「感性よりも理論で」と戦略…

ジャパネットアプリにBSJapanextの機能が追加され「つながるジャパネット」としてリニューアル

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ジャパネット髙田氏「1回きり5分だけ」のラジオ通販が変えた運命

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ジャパネットたかたの創業者、髙田明氏にとって「1回きり5分だけ」のラジオ通販への出演がその後の事業展開のターニングポイントになった。ラジオ通販で長崎から全国展開するまでの歩み、さらに社名が決まるまでの経緯を当時の秘話とともに語る。

ジャパネットたかた創業者の髙田明氏(写真:菅 敏一)

ジャパネットたかたを立ち上げてから経営を離れるまでに私はカメラやビデオカメラ、電子辞書、カーナビなどを何百万台という規模で販売してきましたが、その多くは日本製でした。当時は日本の家電メーカーが世界を席巻し、展示会に行くと「Made in Japan」の液晶テレビやプラズマテレビが何十台もずらりと並んでいて壮観でした。

あれだけ販売したカメラやビデオカメラなどは今ではほとんどスマホに置き換わってきており、日本の影はとても薄くなっていると感じます。スマホがこのように普及する前は、ソニーの携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」が世界で脚光を浴び、誰もが憧れる存在だったと思います。しかし、それに続くものを追求する力が日本は少なかった。一方で他国は日本に追いつけ、追い越せと研究を続け、力を付けてきた結果が今につながっていると思います。当時の国内メーカーの高い技術力を知っているだけに、やはり寂しい気持ちになります。

なぜあれほど素晴らしい商品を作っていた日本メーカーがこうなったのか。なぜ時代に対応できなかったのか。どこかに読み違いがあったのか。私は世阿弥の言葉でいうところの「我見(がけん、役者が舞台の上から客を見ている視点)」に走ってしまい、消費者目線が置いてきぼりになってしまったのではないかと思います。ここから立ち直るには企業体制のみの改善ではなく、行政も一緒になって相当な努力をして発想力を磨き、新たなものを生み出すことが必要かもしれません。今世界が注目する「SDGs(持続可能な開発目標)」や「ESG(環境・社会・企業統治)」など人が安心して暮らせるような商品を作り出すような発想は日本人が本来持っている考え方に近いですし、やり方によっていろいろな可能性があると思います。

ではどんな商品がいいのか。ジャパネットたかたでは扱う商品を選ぶとき、その商品が人の生活の中に何をもたらすか、という視点から考えてきました。単純に売れればいいとか、安く手に入るとかではなく、人の生活の喜びとか幸福感という視点に立ち、時代の中で求められているものは何かを選ぶ基準にしてきました。

最近感じるのは、人間は便利さを求めすぎているのではないか、ということです。例えば、物流の競争はコストだけでなく速さもあります。少し前までならば「明日届きます」でよかったのが、今では「今日届きます」「2時間とか1時間で届きます」という競争になっています。しかし、本当に消費者はそこまでを求めているのでしょうか。確かに人間の欲望は限りなく出てきますが、1週間かかったのが明日届きますとなれば、それで十分だと思います。それ以上の競争によって例えば配送の車が多くなれば、二酸化炭素の排出量が増えることにもなります。あまりにも多くを求めすぎるのではなく、「これで足りる」という世界を持っておくことも必要ではないでしょうか。商品が届く間のワクワク感も付加価値の一つにならないですかね。

「1回きり5分だけ」から始まったラジオ通販

さて今回はカメラ店の店舗だけのビジネスを経て、ラジオ通販を始めた頃の話をしたいと思います。きっかけはそれまで店の宣伝で活用させていただいていた地元の長崎放送の方から、「ラジオで商品を紹介してみないか」と言ってもらったことでした。これは面白そうだなと私は1万9800円のカメラを5分間で紹介しました。すると、なんと50台、売り上げにすると100万円ほどが売れました。当時の店舗の売り上げが月300万~400万円ほどだったので、その反響の大きさには大変驚きました。今から30年以上前、私が41歳の頃です。

1回きり5分だけの放送でしたから、私はもっと機会があればもっと販売できるのではないかと考えました。しかし、当時は、ラジオショッピングはお金を出せば放送できるわけではなく、放送枠自体がものすごく少なかったのです。ですので、ラジオ通販の放送枠は長崎でも最初は、1年に2回しかありませんでした。そこで実績を伸ばしていきながら、放送局に「月に1回、年12回お願いできませんか」と交渉し、それが実現すると「1週間に1回くらいできませんか」と自ら営業に回りながら枠を獲得していきました。

長崎である程度放送できるようになると、今度は他の地域でもラジオ通販ができないかと考えました。調べてみると各地にラジオショッピングをやっている店はありましたが、全国をネットワークしている会社はありませんでした。それならば自分がネットワークをつくろうとひらめいたのです。

次ページ 5分の放送枠のため6時間かけて通った日々

ジャパネットブロードキャスティング、新社長就任のお知らせ

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福岡に新オフィス 広告や地域創生のクリエイター募集ーージャパネットコミュニケーションデザイン

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通信販売事業で知られるジャパネットグループの広告や地域創生事業のクリエイティブ制作に取り組むジャパネットコミュニケーションデザイン。

2021年12月には福岡に新オフィスを立ち上げ、約20人のインハウスクリエイターを募集している。

40名超のクリエイターが働く組織

ジャパネットコミュニケーションデザインにはクリエイティブ部、イベントキャスティング部の 2 部門があり 40 名超が所属する。中でもクリエイティブ部では、ジャパネットの企業ブランドの向上に繋がる広告制作、スポーツチームのブランディングや地域創生事業のクリエイティブを手がける。「ジャパネットグループというとテレビ通販のイメージが強いかもしれませんが、私たちは通販番組やチラシの制作は手がけていません。グループ全体の対外的なコミ ュニケーションをデザインするための組織と位置付けています」と説明するのは、執行役員の古賀英朗さん。制作会社出身で、社内も広告業界出身者が半数以上を占める。

今回募集するのは、広告制作の経験があるプランナーやプロデューサー、アートデ ィレクターのほか、VR などのテック領域を専門とするクリエイターなど。加えて、ジャパネットのグループ会社である J リーグの V・ファーレン長崎、B リーグの長崎ヴェルカのブランディングやあらゆるクリエイティブを担う人材だ。近いうちに全体で 20 名規模の増員を目指す。

これまでの実績として、2021 年 9月には西川美和監督による企業 CM を公開した。スポーツ関連では、長崎ヴェルカのホームゲームの開幕戦にパノラマティクスとともにプロジェクションマッピングの演出も手がけている。2024 年に長崎市内に開業予定の「長崎スタジアムシティ」プロジェクトも進行中で、そのクリエイティブ全般を手がけていくことになる。さらに長崎では地場の企業広告制作をサポートしている。

勤務地は福岡の中心地にある「天神ビジネスセンター」。2021 年 12月に新オフィスを開設したばかりだ。「U/I ターンで就職先を探しているクリエイターはもちろん、地方都市のクリエイティブのレベルを高めることで地域の活性化に貢献したい人、インハウスならではの事業拡大のスピードを体感しながら変化を楽しめるような人と働きたいと考えています」。

近年、グループの新事業はクルーズ、水の製造、クレジットカードなど多岐にわたる。これらのデザインマネジメントやツールの制作にとどまらず、クリエイティブの視点で事業間のシナジーを生み出し、お客さまに新たな体験を提案することもミッシ ョンだ。「さまざまな事業を融合させ、スピ ード感をもってお客さまに豊かで楽しい時間を提供する。そんな本質的なクリエイテ ィブを生み出すチャレンジをしたい、という人のエントリーを待っています」(古賀さん)。なお、採用サイトには「ジャパネット 仲間」と検索するとアクセスできる。

『ジャパネット 春の下取り祭』開始、おトク&ラクを追求するCMも

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2022.02.21 通販会社

(株)ジャパネットたかたは4月9日まで、『ジャパネット 春の下取り祭』を開催している。キャンペーンの開始に伴い、CMキャラクターを務める国分太一さんと吉瀬美智子さんを起用したキャンペーンCMの放映も始まった。お得に気楽に買うならジャパネット――。

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